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【Noriがゆく。〜自転車とコーヒーとハンモック〜】

鳥の鳴き声と薄明りで目覚める。

結局、東京を出るときから降っていた雨は日を変わった朝方まで降っていました。テントと違いハンモックは空気感が自然そのもの。テントでも外の音は身近に聞こえますが、音はもちろん光や風といったものが壁ないので五感に響く。ハンモックキャンプは心地よいです。今朝も蚊帳越しに自然の空気を吸い込み、耳には鳥の声が心地よく響きます。

朝食は簡単に済ませますが、ハンモックキャンプにはこのDépart(デパール)さんのグラノラバー抜きには語れません。

Départさんのグラノラに対するこだわりはもちろんですが、単純に本当に美味しい。

ばくばくと食べるのも良いですが、私はこの少し歯ごたえのあるバーを、折りながら少しずつ食べていくのが好きです。シリアル系の食品は、身体にいいと言いながら意外とあまり良くないものが入っている事も。でもこのグラノラは、保存料や添加物を一切使用せず、ノンシュガー、ノンオイル、グルテンフリー。乳製品アレルギーのある子供でも美味しく安心食べることが出来ます。

やはりいい空気にはいい食事を。そして時間をゆっくり使いサスティナブルなグアテマラコーヒーをドリップする。コーヒーを屋外で飲むのは格別です。山コーヒーにサイクリングコーヒー。#coffeeoutsideが大好きです。

ハンモックを出て身支度をはじめ、先を急ぎます。

今日は甲州街道の中で一番の難所、笹子峠を通ります。通常、車は3kmあまりのトンネル「新笹子隧道」を通るのですが、自転車で通過するにはとても危険なトンネルなので、笹子峠を迂回して進みます。それに自転車は峠道を楽しまないと。(本当はそんな余裕もなく...)そんなことも頭にあり、峠に向かうソワソワ感も少しあり急ぎモードに。

キャンプ場から舗装路に出るまでは登り。

今日のスタートはペダリングではなく自転車の手押しでスタートに。天候は昨日とはうって変わっての晴れ!暑くなりそうだ。

先を急ぎたいと思いながらも、キャンプ場経営のご夫婦に聞いた地元の名所『猿橋』に立ち寄ることに 笑。このキャンプ場には何度か来たことがありますが、いつも東京方面からキャンプ場へ向かうので、このキャンプ場より西へは行ったことが一度もありませんでした。

この『猿橋』日本三奇橋のひとつだそうで、こんな名所があったとは!!趣のある橋でした。

*画像奥の橋。

画像は、猿橋からいきなり笹子峠入口の画像になるのですが、実はここの笹子峠入口までが以外に長く感じます。大月市は広くて長かった。さあ、峠を行こう。

笹子峠はしっかり管理された人工林と、自然をそのままに成長させた林とが混在するらしい。

樹齢1000年を超える『矢立ての杉』という大木の名所も途中にありました。

峠の登りは、相変わらずペダルを踏んでは手で押して、ペダルを踏んでは手で押しての登り方。

この峠ではサイクリストにちらほら会いましたが、みんな私を抜いていき、再び追いつくことはありませんでした... 私はマイペースを守り、途中自転車を止めては登ってきた道を振り返ります。休む回数も増える午前中。

ひたすら登ること数時間。

ついに見えた笹子隧道。趣あるトンネルに心躍ります。やはり峠を抜けて良かった。

とうとう難所を終えそうです。実はこの峠を少し前に自転車で通過した知人から、この峠の情報を得ていたのですが、「キツくないですよ!」とのアドバイス。

でもM君、キツかったよ... 考えてみれば20以上も齢は離れているし参考になるはずもなく 笑

でも登り詰めました!

トンネルを抜けると下りです!

杉林をグングン下っていくと少しずつ民家が見えてきて、峠を越えたことを素直にうれしく思いました。自転車特有の下りのご褒美も心地よく、そのまま進むと道が広がり再び甲州街道へ。

標識を見ると勝沼町!

「勝沼=ぶどう」と刷り込まれた私の頭の中はすぐにぶどう畑に目をやりたくなりました。

自宅の小さな庭に棚を立て一昨年からぶどうの苗を1本だけ植えてみたのだが、全く上手くいかず...しかし今年はぶどう棚に蔓が伸び、葉も茂りはじめ、小さなぶどうの実が見え隠れしました。これはプロのぶどう棚が今どんな感じなのかと確認して参考にしておこうと立ち止まる。しかし見ても何もわからない... 袋掛けはまだしていないなあ。あとオレは蔓を切りすぎたかな... という感じだけでした 笑 

ぶどうの名産地から桃の名産地を過ぎ甲府に入ります。

車が多く、なかなか進みづらくなってきた。そして甲州街道を少し入ったところ、長年お世話になっているアウトドア用品店『エルク』さんに立ち寄ります。

私はアウトドア用品の営業に関わって20年以上ですが、この業界に関わりだしてからとほぼ同じ年月のお付き合い。

「社長、自転車で営業にきました!」「えっー!!??」という感じ。登山用品店として店舗内での敏速な修理対応も整っています。これからもどうぞ宜しくお願い致します!!

エルクさんから甲府から韮崎、そして白州までにかかる時間や道のイメージをシェアしていただき、「あー旅もいよいよ終盤なのか」と改めて思った時、ふと今回全く見ていない事に気づく。

そう富士山です。振り返るとありました。

いつも西方面に見る富士山を今回は東方面に見る。自転車でここまで来たんだなあ、と。

山々がより一層高くそびえ、八ヶ岳や南アルプスが見えてきて西へ西へとペダルを踏んできましたが、山梨は水の豊かさを様々なところで感じます。

雨の東京を出てきたときは水の豊かさを感じることもなかったですが、途中の峠では水の流れる音を聞き、そして今は目の前にきれいな川が流れています。白州は近い。

そして、ついに到着!!

ここには本日、自転車を愛する仲間たちがBIKELOREイベントで集まっている。白州が近づくにつれて、サイクリストがBIKELORE会場へ向けて集まっているのを感じ、すれ違いざまにあいさつしながらの公園入口到着でした。

実は少し手前に「白州道の駅」があり、ゴール目前に我慢しきれず前祝にソフトクリームを一人食べちゃいました。食いかけ画像でゴメンナサイ... やはり疲れには甘いものを!

総走行距離は187.55km。

今回、特に人の生活圏を離れた旅ではありませんでしたが、自転車は車と違い空気を遮るものがないのでずっと風に触れています。そしてハンモックキャンプも同じくテントと違って空気感、風が遮断されない。ずっと空気、風を感じ過ごしてきた2日間。自転車ライドとハンモックキャンプは風を感じ続けることができる旅なのです。

私が東京からこの白州まで自転車で向かっていることを知っていた仲間達から、お疲れ様でした!と声を掛けてもらいました。普段はあまり話さなかった人も、東京から自転車なんですって!と会話が続きます。

そしてもちろん、今回コーヒーの注文をくださった方へ、このイベント会場内でコーヒーを届け配達は完了しました。濡れなかったコーヒーバッグは念のためエマージェンシーシートに丁寧に包み、金曜日と同じことが無いようにしていました。ご注文を下さった方は、エマージェンシーシートに包まれたコーヒーを納品されるのは初めて!と...

本来ならコーヒーを渡すシーンを画像に収めたかったのですが、安堵感と到着して会話も弾み、少しだけ興奮気味だったのかも、この辺りを画像に収める冷静さもありませんでした。

そして落ち着いた頃、ふとイベントブースの裏に停めた自転車を見ると、ハンドルにカエルが。いろんな意味で、ホッとした瞬間でもありました。

最近は、自転車にしてもランニングにしても多くの大会があり、様々な地域をスポーツで楽しむことができるイベントが増えています。サポートが充実し、ルート内の安全性も考えられ安心してスポーツを楽しむことができます。そうスポーツとして。

今回の私の行いは、スポーツではなく『旅』。国道は、行き交う自動車との緊張感で神経をすり減らしました。いいルートの旅であったのかはわかりません。しかし、この計画を立て、それに向けて準備し、自分自身でルートを決め、日程を決め、ゴール地点も自分自身で決めます。これは大きなイベント参加のロングライドとは異なる旅です。

でも、スポーツか旅かなんていう事もどうでもいいのかもしれません。自分で決めたことを自分で準備し実行する気持ちのパワーを持つこと、外の空気感をより長く感じ続けることが大切なのかもしれません。ただし無理は禁物です。安全第一で。

白州に着いた晩、私は再びイベントの行われている公園内でハンモックで寝ました。

昨夜より大きなサイズのハンモック(ENO Double Nest)で寝たので包まれる安心感があり、より快適に眠りにつけました。(すみません、ちょっとだけ宣伝です。)

そして翌朝、私は目が覚めるとハンモックの中でいっぱいに空気を吸ったのでした。

終わり

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